怪優 ビリー・ボブ・s-ントン怪優、ビリー・ボブ・ソ-ントン 『 アイス・ハーヴェスト 氷の収穫 』 2005米 原作 スコット・フィリップス 監督 ハロルド・ライミス 出演 ジョン・キューザック ビリー・ボブ・ソーントン コニー・ニールセン オリバー・プラット 全米ベストセラー小説の映画化。カンザス州ウィチタ。クリスマスイヴの一夜の顛末をユーモラスにかつ哀愁を込めて描く。 うだつの上がらないマフィアの雇われ弁護士チャーリーは、離婚して人生に疲れたような気弱な男。 相棒ヴィクは暴力も厭わない冷酷な男。二人はボスから大金を盗む。金はいったんヴィクが預かり、二人は朝まで別行動を取ることに。 ところが、ボスは盗まれたことにさえ気付かない完全犯罪のはずが、組織の殺し屋が早くも自分達を探していることを知り、チャーリーは 慌ててヴィクを探し回る。 殺し屋、ボス、女、チャーリーとヴィク、チャーリーの元妻とその夫にしてチャーリーの親友、それぞれの欲と思惑、裏切りと友情が絡み合い ・・・・。 チャーリーが、平静を装うこともできずにバーで大盤振る舞いをしたり、殺し屋に震え上がってヴィクに何度も電話をしたりしてしまう姿が 情けなくて、どことなく男の悲哀を感じさせて可笑しいのです。 裏切りに継ぐ裏切り、誰が味方か誰が敵か、最後に金を手にするのは誰なのか、めまぐるしい展開は最後まで楽しめて、ラストシーンも どこか間抜けなオフビート感覚。 心地よい映画でした。 『 狂っちゃいないぜ 』 1999米 監督 マイク・ニューウェル 出演 ジョン・キューザック ビリー・ボブ・ソーントン ケイト・ブランシェット アンジェリーナ・ジョリー NY。航空管制局( TRACON )。 No.1 を自認する航空管制官ニックは地方から転勤してきた有能な新人ラッセルに強烈なライバル心を燃やし、そのストレスに神経をすり減らす。 ライバル心はお互いの妻まで巻き込んでエスカレートしてゆく。 ある雪の日、空港に事件が発生し、お互いの協力なしでは解決できない事態となるが ・・・。 乾いた感じの笑いを誘うコメディです。 ストーリーもさることながら、航空管制官という未知の世界にびっくりです。 空港にはこういう人達がいて、こんなことをしていることを、それまで知りませんでした。 つまり現代のIT環境においてもまだ、これほど人間の感覚と判断に頼っていることに驚き、お陰で安全な飛行機の旅が可能なんだ、 とその名人芸にひたすら感嘆。 キューザック、ソーントン、ブランシェット、ジョリーが二組の夫婦を演じていますが、組み合わせは ・・・? 『 バーバー 』 2001米 監督 ジョエル・コーエン 出演 ビリー・ボブ・ソーントン フランシス・マクドーマント スカーレット・ヨハンソン 事件の顛末を、主人公が思い出す形で語られてゆく。 義兄の経営する床屋で働く エドは、義兄のおしゃべりにも浮気をする妻にもうんざりしている。 店に来たセールスマンに儲話を持ちかけられたエドは、妻の浮気相手を脅迫して元金を作ろうとするが、トラブルとなって相手を刺殺。 ところが逮捕されたのは、妻だった。 真偽が複雑に絡み合い、実際に犯した殺人では捕まらず、犯していない殺人で有罪となり ・・・。 モノクロの画像と淡々としたナレーションと、極端に寡黙な主人公が、どこか現実離れした奇妙な雰囲気を作っています。 妻への愛憎と、少女への偏愛と、まったく男って。な一編です。 コーエン兄弟の作品は好きです。 『 バートン・フィンク 』 はその不快さが快感。 『 オー・ブラザー 』 は、『 バーバー 』 とも通ずる、劇的な出来事を敢えて淡々と描く乾いた目線が心地良く、とにかく大好きな作品です。 『 バンディッツ 』 2001米 監督 バリー・レヴィンソン 出演 ブルース・ウィリス ビリー・ボブ・ソーントン ケイト・ブランシェット オレゴンの刑務所に服役中のプロの銀行強盗、ジョー・ブレイクはタフガイの行動派。 テリー・コリンズは、自分は悪い病気ではないかと悩む心身症。 2人は脱獄して、銀行強盗の旅を始める。殺さず傷つけない、その華麗な手口は、全米メディアに注目される。 一方、平凡な夫婦生活に飽き飽きしていたケイトは偶然の交通事故から、2人の強盗ツアーに加わることとなり ・・・・。 スタイリッシュで、明るいタッチが痛快な犯罪コメディ。 タフガイを気取るジョーと、いつも眉根をよせて考え込むテリーが、美しい人妻ケイトの前ではてんでだらしがないのが笑わせます。 ケイトは綺麗で、あっけらかんとした天真爛漫さもなかなかです。 ストーリーもどんでん返しに次ぐどんでん返し、最後まで目を離せません。最高に楽しい映画です。 『 プライド 栄光への絆 』 2004米 原作 H・G・ビッシンガー 『 フライデー・ナイト・ライツ 』 監督 ピーター・バーグ 出演 ビリー・ボブ・ソーントン 青春をアメフトに賭ける高校生たちが州優勝を目指して厳しい戦いに挑む姿と、選手を取り巻く様々な人間関係を描く。 金曜の夜は商店を閉めてスタジアムに駆けつける人々。勝たなければ ・・・ とコーチを半ば脅迫する街の有力者たち。 小さな町の異常なほどの期待を背負いながら、闘い続ける選手たちとコーチ。 1988年、テキサス州の田舎町オデッサでの実話。 試合の迫力が凄まじいです。美しいです。 人間の “ 闘って、勝つ ” ことへの執念はほとんど本能なのでしょうか。勝ちたい気持ちに説明は不要なのだと改めて感じます。 物語の中の選手やコーチ、町の人々に、と同時に、手に汗握って観る自分の中にもそれを感じずにはいられません。 チームのエースであり、多くの大学からのスカウトを受けていた選手が、怪我で選手生命を失うエピソードがあります。 見につまされます。 夢を追うことも人生なら、夢を失うことも人生です。 にしても、映画にも小説にも良く出てきますが、アメリカの田舎町で高校のアメフトやバスケットボールチームに賭ける地元の期待というのは 尋常ではないようです。 日本ではどんな競技であれ、考えられません。 敢えて言うなら高校野球でしょうが、最早強豪校はどこも地元出身の選手などほとんどいない状態ですから、地元意識もそれほど ないですものね。 甲子園放送で、東京なら、早実だと国分寺市、日大三だと町田市が紹介されますが、チームに国分寺市、町田市出身の選手が いるのでしょうか。 駒大苫小牧に苫小牧出身の選手はいるのでしょうかね。 “ 良し悪し ” ではなくてね。 『 スリング・ブレード 』 1996米 監督 ビリー・ボブ・ソーントン 出演 ビリー・ボブ・ソーントン ロバーツ・デュヴァル ドワイト・ヨーカム 母親の浮気現場を目撃し、母親とその相手を殺害した知的障碍者のカール。 25年間の精神病院生活を終え、故郷の町に帰ってきた彼は、そこで父親のいない少年と親しくなる。 少年の母親が恋人の暴力に悩んでいる姿を見た時、カールは ・・・・。 人と人との関わりが暖かい目線で描かれます。 でも、25年施設で暮らした知的障碍を持つ男が社会に出てどう暮らすのか、人を殺すことの意味を施設で学んだカールが少年の母親の 愛人にどう相対するのか、底に常にそういった緊張感が流れ、その雰囲気が心に残ります。 真に純粋であることは悲しい、と感じる切ない物語です。 『 すべての美しい馬 』 2000米 監督 ビリーボブ・ソーントン 出演 マット・デイモン ヘンリー・トーマス ペネロペ・クルス 1949年、テキサス州サンアンジェロ。 青年ジョンは父の死によって何もかもを失い、友人レイシーと共にメキシコへ。 二人はメキシコの大農場でカウボーイとして働き、ジョンは牧場主の娘と恋に落ちる。 ある朝、突然二人は逮捕される。冤罪による苦しい刑務所生活の末に釈放されるが ・・・・。 メキシコの大農場の雄大な風景と、タイトル通りの、馬の美しさが印象的です。 ビリー・ボブは監督のみ、出演はしていません。 『 シンプル・プラン 』 1998米 監督 サム・ライミ 出演 ビル・バクストン ビリー・ボブ・ソーントン ブリジット・フォンダ 雪深い田舎町。ハンクは生活苦にあえぎながらも、妊娠中の妻サラのために黙々と働く。 大晦日、失業中の兄ジェイコブと友人と共に出かけ、森の中で墜落したセスナ機を発見する。 機内にはパイロットの死体と、440万ドルの大金が。 3人と妻サラはこれを着服するが、近所の老人に目撃されて殺害、事故死に見せかけるが ・・・。 嘘が嘘を呼び、一度回りだすと止めようのない転落の感覚がそら恐ろしいです。 スリリングなストーリー展開と、心まで凍りそうな雪原の風景がとても印象的でした。 『 チョコレート 』 2001 米 原題 『 Monster's Ball 』 監督 マーク・フォスター 出演 ハル・ベリー ビリー・ボブ・ソーントン ヒース・レジャー 権威主義かつ人種差別主義者の刑務官ハンク。彼は、心優しく繊細な息子を認められず自殺に追いやってしまう。 黒人女性レティシアは、夫を電気椅子で処刑され、幼い息子を交通事故で失い、住む家も立ち退きを迫られている。 二人は子供の事故をきっかけに知り合い、深い孤独と喪失から求め合うが ・・・・・ 2001年ナショナル・ボード・オブ・レヴュー主演女優賞、主演男優賞、2002年アカデミー主演女優賞、同年ベルリン国際映画祭銀熊賞、 主演女優賞など受賞。 全編に息苦しくなるほどの深い孤独と喪失感が漂い、心に重い物語でした。 “ 孤独 ” について考えてしまいました。 映画の中では仄かな希望も見えてきますが、人生にこんなことがそうあるとも思えません。 ヒース・レジャーのその後を思うと、人の儚さにまで思いを馳せずににはいられませんでした。 例によって邦題がダメダメだと思います。 原題 『 Monster's Ball 』 (= 怪物の舞踏会 ) は、死刑執行前夜に看守達が行う宴会のこと。 映画の前半で看守達の会話の中で説明され、それがタイトルであることが観る者の緊張感を呼ぶのに、このタイトルではその部分が そっくり抜け落ちます。 やれやれ ・・・・ ” 人種差別を背景にした孤独と喪失感 ” ではなく、恋愛ものとして売りたかったのでしょうかね。
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